死者の時間〜最期のメッセージ〜
「俺、こんな姿になっちゃったからさ」

カタカタと頭蓋骨が喋る。藍は恐怖で体を震わせた。大きく見開かれた目からは涙があふれていく。

ゆっくりと青磁は足を踏み出し、藍に近づいていく。藍は後ずさり、逃げようと走り出した。すると青磁も追いかけてくる。

「藍、どうして逃げるんだい？俺のことをずっと待っていたんだろ？」

青磁が逃げる藍の背中に向かって言う。藍は首を横に振り、「違う！！」と叫んだ。

「お兄ちゃんは生きている！あなたみたいに死んでいない！あなたは誰なの！？」

少しずつ霧が晴れていく。藍は自分が走っているのが森の中だと初めて知った。そして、自分が走っていく先にあるのは、脱走者を防ぐためなのかまるで牢獄のような巨大な鉄格子。

「そんな……」

鉄格子を掴み、藍は肩で大きく息をする。もう逃げ回る体力は残っていない。藍の華奢な肩に冷たく固い手が触れる。

「つ〜かまえた」

目の前には青磁の頭蓋骨。その顔がゆっくりと近づき、藍は涙をこぼす。
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