死者の時間〜最期のメッセージ〜
「ここね……」

藍の目の前にあるのは、公立の大きな学校だ。校門の前にはパトカーが数台止まっており、何事かと野次馬が集まっている。

「藍、こっちだ」

藍が校門をくぐると、如月刑事が手招きする。その隣には原刑事もいた。

「あれ?今日はお一人なんですか?」

原刑事が不思議そうに訊ねる。藍は大河がアメリカに行っていることを説明した。

「なるほどな……」

如月刑事が嬉しそうな顔をし、原刑事がニヤリと笑う。藍は「ご遺体はどこに?」と訊ねた。如月刑事と原刑事はハッとした表情になり、笑顔から真剣な表情になる。

「ご遺体は、この学校の中庭にある貯水槽の中から見つかりました」

「貯水槽?」

原刑事の言葉に藍は驚く。如月刑事が言った。

「貯水槽の掃除をしようと用務員が貯水槽を開けたところ、無断欠席をしていた男子生徒の遺体が見つかったそうだ」

二人に案内され、藍は貯水槽へと向かう。フェンスで囲まれた大きな貯水槽の周りには、多くの警察官が集まっていた。
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