希望の華


腕と軽く擦り合わせて手を外すとそこにはもう傷はなかった。



「相変わらず奇妙なものだな。」

「私自身が一番不気味です。」



この力...治癒能力とでも言うのか...は生まれた時からあるもの。

これがまた厄介で、普段の生活にはそこまで影響はないが、ふと力を入れた時には光が浮かび上がる。



だから、落ち着いていられる時を除いて、私はずっと手袋をして生きている。



伝説によるとこの力を持つ者は約五百年に一度の頻度で生まれる。

私の前の人間は日本で言う室町時代をヨーロッパで生きていたらしい。



私の何代か前の人間は卑弥呼だったり聖徳太子だったり、ましてや日本武尊やイエス=キリストかもしれない。

まあこんなこと言ったら誰に怒られるかわからないから、心の中だけで。

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