星の数より多く、君に愛を伝えたい。
1時間目の授業が始まるチャイムが鳴った。
わたしは、自分の筆箱からシャーペンと筆箱とボールペンを取り出して机に置く。
筆箱をしまったと同時に、カシャン、という音を立てて、1本のシャーペンが転がった。
「あっ! シャーペンが!」
不意に、わたしより少し大きな手がシャーペンを拾い上げた。
「はい」
わたしのシャーペンを拾ってくれたのは、出席番号が前の松岡 太一(まつおか たいち)くんだった。
「あっ、ありがとう!」
わたしは、彼の手からシャーペンを受け取った。
「望月(もちづき)……だったよな?」
「え、あ、はい。松岡くん、だよね?」
全然話したことのない相手にシャーペンを拾ってもらったので、わたしは少し戸惑った。
「そう。俺ら、出席番号前後なのに、今日初めて話したね」
「確かに、なんでだろうね」
わたし達は、その場でくすくすと笑った。
「はい、授業始めるぞー。望月と松岡も座れー」
先生が入ってきて、わたしと彼はいそいそと席に座った。