星の数より多く、君に愛を伝えたい。
しばらく周りはしーんとして、みんなが他のところへ気を取られたとほぼ同時に、2人の女の子がやってきた。
「望月さんだよね?」
女の子は2人ともポニーテール。
1人の子は背が高く、ぱっつん前髪で。
もう1人の子は小柄で、ゆるふわポニテ。
『わかんないけど、誰かが聞いちゃったらしくてね、親がいないって知ってそれで『捨て子』だと思って噂を流したみたい……』
あの時の女の子たちだ!
「う、うん……! あなた達あの時の……」
「うん、一応名前言っとくね。わたしは、愛野 真佳奈(あいの まかな)」
小柄でゆるふわな髪型をした女の子が名乗った。
「わたし、川嶋 彩絵(かわしま あやえ)」
背の高い子も名前を言ってくれた。
「望月さんには、言っておいた方がいいと思って。松岡くんが、和田くんと喧嘩した原因」
愛野さんが切なそうな表情で言った。
もう少し、近くの教室のみんなの声が大きかったら愛野さんの声はかき消されていたかもしれない。
「知ってるの!?」
「うん、わたし達が通った時に喧嘩が始まったから少し説明するくらいならできるよ」
川嶋さんもそう言った。
「あの……まだ噂、消えてないでしょ。望月さんの、お父さんとお母さんの」
「あっ……。うん」
「そういう噂をしてるのってね、ほとんど女子だけだったんだけど……。和田くんが男子の話題にもしようとしてたから……。『望月さんが親に捨てられた理由、分析した』って和田くんが言った途端、松岡くんが怒りだして。だから多分、望月さんのこと、庇ったんだと思うの」
愛野さんの声は、だんだん小さくなった。
松岡くんがあんなに怒ったのは、わたしのせい、なんだ。