星の数より多く、君に愛を伝えたい。
輝美side
松岡くんが話してくれた過去は、わたしの想像を上回るくらい悲しいものだった。
好きだった星歌ちゃんに、『好き』と言えないまま避けられないお別れをすることになって。
もう二度と会うことができないことになってしまったなんて。
それが、どれだけ悲しくて。
そのどん底が、どれだけ深いのかは、わたしにははっきりと分かるものではない。
ただ、松岡くんはわたしとは比べ物にならないくらい、衝撃な経験をしたことだけは分かった。
「もう、いろんな部活の部員が帰り始めてるよ。俺らも帰らないと、先生に叱られるぞ」
いつもの、松岡くんの笑顔だ。
「うん……そうだね」
わたしは力なく笑い、2人で靴箱へ向かう。
話を聞く限りでは、星歌ちゃんと松岡くんは両思い、だったんだよね。
でも、病気のせいで叶えられなかったっていうこと。
これは、誰のせいでもない。
星歌ちゃんは悪くないし、松岡くんだって悪くない。
周りの人だって悪くない。
でも、そんな誰のせいでもないことに、星歌ちゃんは天国に旅立ってしまった。松岡くんは、後悔して泣くことになってしまった。