星の数より多く、君に愛を伝えたい。
ヒーローみたいな人。
その文字を、心の中で書くたびに胸が甘くうずく。
「ふぅ」
ため息をついた後、わたしはさっとカーテンを開けた。
……今日はあんまり星が見えてないなぁ。
晴れているのに。
「あっ」
一番星。
一面に広がった、紺色の空にひとつだけ浮かんでいたのは、小さいけれど自ら光を放つ白い星。
まるで、松岡くんのあの時の心みたい。
そう、あの時星歌ちゃんが亡くなって、泣いて泣いてどうしようもない時。
悲しみが広がっている時。
その悲しみには、優しさという証拠がある。
優しさ。
純白で、儚くて、きれいで。
でも、優しい気持ちよりも悲しい気持ちの方がずっとずっと強くて。
松岡くんはあの時、この夜空のように真っ暗な道をさまよっていたんだ。