星の数より多く、君に愛を伝えたい。
美術部員が描かれた絵は、美術室のそばに飾られてある。
いつもは何の飾り気もない、シンプルで真っ白な壁はたくさんの絵でカラフルになっていた。
アニメの絵、マンガの絵など、二次元が大好きな人の作品。
景色を描いた、芸術的な作品。
ちなみに、わたしは二次元とかはあまりよく知らないタイプなので芸術作品に分類される。
「輝美の絵は……あっ、あった!」
花乃が、わたしの銀河のイラストを指さす。
「相変わらず、輝美は絵が上手いねえ」
「輝美の絵……本当に綺麗。すごい、吸い込まれてく感じがするよー」
莉音がうっとりとした感じで言った後、真帆も長いまつ毛が縁取られた瞳を輝かせながら言ってくれた。
「ありがとう!」
銀河のイラストは、青や紺など、いろいろな青系の色を使ってグラデーションにするために描いている間は結構腕が痛くなったりしたので、大好きな親友に褒めてもらえるのは嬉しい。
「あ、また会ったな、お前ら」
男子の声が聞こえたので、わたし達は思わず振り向く。
「松岡くん」
「それに新垣」
わたしの後に、真帆がさっきの銀河の絵を見た時が嘘のように軽い調子で言った。
「あんた達も美術部の絵、見に来たの?」
「おうよ、もういろんな教室で遊んだから飽きたわー」
「自分から、あっち行きたい、こっち行きたいと言っておいて……」
新垣くんの気まぐれな態度に、松岡くんが呆れた笑顔でそう言った。
「ぷっ、ふふふっ」
花乃は、口元を抑えてクスクスと笑い出した。
「小柳、なに笑ってんだよ」
新垣は、目をパチパチさせる。
「なーんか、松岡くんって新垣くんのお兄さんみたいだなぁって」
「失礼なぁ! 俺の方が背高いぞー?」
肩を組んで、身長の差を見せつけてくる新垣くん。
こうしてみると、わたしよりは高いけれど新垣くんより背の低い松岡くん。
こういうところは、可愛く見えたりしてしまう。