星の数より多く、君に愛を伝えたい。
あっという間に時間が過ぎ、閉会式も終えて、帰ろうとしたらなつちゃんが松岡くんに近づいていくのが見えた。
どうしたんだろう、何か用かな。
なんとなく、予想はついている。
自分の予想していたことを思い浮かべて、わたしは思わずなつちゃんから目を逸らした。
「松岡先輩! 話をしたいので、いいですか?」
わたしはその声に、思わず体をピクっと跳ね上がらせた。
なつちゃん。
「いいけど」
そう言った後に、松岡くんはなつちゃんと一緒にどこかへ歩いて行った。
「そんなっ……!」
「まさか……!」
「ウソでしょ……?」
近くにいた真帆、莉音、花乃は大きく目を見開いて手も震えていた。
「なつちゃんっ……!」
「輝美まで……!?」
心配そうにわたしを見つめる莉音と花乃。
手だけではなく、声まで震えている。
わたしも正直言うと、今は自分が呼吸していると感じない。
口や鼻を開けても、空気が入ってくるように思えない。
……でも。
「……いいんだもん」
「え!?」
「いいの、本当に。どっちにしろ、進路は同じじゃないもん」
大丈夫に見せたかったけれど、こんなことしか言えない。
大丈夫、大丈夫。
しつこいくらいに、自分に言い聞かせるしかなかった。