星の数より多く、君に愛を伝えたい。
「ねえ、輝美」
昼休み、莉音はわたしを誰もいない渡り廊下まで連れてきて話しかけた。
「なぁに?」
「言いに、行かない?」
「え?」
「大原さんと、関口さんに……言いに行かない? わたしが吾妻くんのこと好きで……輝美が、松岡くんのことが好きだってこと」
莉音の話を聞いて、わたしは思わず顔をひきつらせた。
「だってさ、2人は言ってくれたじゃない。本当の気持ち。輝美にだけだけどね。好きな人が被ったこと、言わないって……そんなのフェアじゃない気がするの」
それは、そうだ。
すみれちゃんも、なつちゃんも、全然親しくなかったわたしに打ち明けることは絶対に勇気があったはずだ。
それなのに、わたし達だって好きな人がいて、しかも片想いの彼は被っている。
そのことも、わたし達はずっと黙っている。
「……うん」
確かに莉音の言っていることは、一理ある。
こんな風にこそこそしていても、きっとバレる気がする。
いや、今更言ったってきっとわたし達は2人から嫌われるだろう。
それでも、しらばっくれていいことは絶対にない。
「行こう! 2人で!」
「うん」
どんなに謝っても、きっとわたし達は2人を傷つけることになる。
それでも、もう後輩に恋を応援する優しい人を装っても意味はない。