星の数より多く、君に愛を伝えたい。
「あ、あのね……。わたし達も、好きな人がいてさ」
「わたしの好きな人はね、吾妻くんなの」
松岡くんが好きなことをわたしが言おうと思ったけれど、莉音の声の方が早かった。
すみれちゃんとなつちゃんを見ると、驚いているような、悲しんでいるような……とにかく気分が良さそうではなかった。
そりゃあそうだ。
今更、好きな人が被ったことを告げられたんだから。しかも、今はもうなつちゃんもそうだが彼と結ばれないと分かった後。もちろん、分かる前に言われても気分は良くならないけれど、すみれちゃんの気持ちを考えるとこっちが泣きたくなるくらいだった。
さっきの覚悟はもう消えたのか、わたしは口が開けなくなった。
「話してくれて、ありがとうございます」
すみれちゃんは冷静な状態で、頭を下げてきた。
「わたし達、なんとなく予想がついてたんです。わたし達のこと、あんまり応援したくないんじゃないかなあって」
予想外の言葉を聞いて、わたしはますます言葉が出なくなった。
予想がついていた?
応援したくない?
「それから……」
「望月先輩は、松岡先輩が好きなんですよね?」
すみれちゃんの言葉に、なつちゃんが続ける。
「え!?」
わたしは、もうこのままひっくり返るんじゃないかと思った。
「ほんとは、ずっとそうなんじゃないかって思ってました。望月先輩の友達が、吾妻先輩が好きなんじゃないかって」
え、そんなことまで気づかれていたんだ。
2人とも、すごすぎる。
「その……ごめんなさい」
今度は、なつちゃんが頭を下げた。
「わたし、どうしても他の誰かのものにしたくなかったんです」
「取られたくないって思うのは、当たり前だよ」
莉音の言葉に、わたしもうんうんと頷く。
誰だって、好きな人と結ばれることを願う、恋とはそういうものだ。