星の数より多く、君に愛を伝えたい。
突然、すみれちゃんとなつちゃんは顔を見合わせて、頷き合った。
「先輩達、もう知ってますか? すみれが、別れた話」
なつちゃんがすみれちゃんの横で言った言葉が、あまりにストレートで少しびっくりした。
その話を言うことを、2人とも覚悟がついていたのだろうか。
「う、うん。まさか、吾妻くんと別れたのって……すみれちゃんが振ったの?」
「うーん。ホントは振られたってことでもあり、振ったってことでもあります」
わたしの質問に、すみれちゃんはケロリとした態度だった。
「一度、吾妻先輩とも話し合ったんです。わたし達、嫌いあってたわけじゃないんですけど。うまく言えないんですけど、一緒にいててどこか違うような気がしたんです」
じゃあ、2人は両思いじゃなかったってことなのかな。
吾妻くんは、すみれちゃんといてどんな気持ちだったんだろう。
吾妻くんの気持ちが、よく分からないなぁ。
「わたし、負けましたね!」
「えっ……?」
すみれちゃんに言われて、莉音はまるで思考が停止したように固まっている。
「住吉先輩の、勝ちです!」
すみれちゃんの最後の言葉は、笑っていても声を出すことは苦しそうだった。
三日月の形になっていたすみれちゃんの両目から、涙が流れてきていた。
「あ……あれっ……?」
すみれちゃんの顔が、どんどん歪んでいく。
「もう、別れることも……何もかも……勘づいていたはずなのに……」
しゃくりを上げて泣き出す、すみれちゃん。
つぶらな瞳から、こぼれだす大量の涙。
今すぐ、わたしも莉音も一緒に泣いていたかった。
それなのに、涙が出ない。
「先輩、絶対自信を持ってくださいね!」
「わたし達、応援してます!」
2人は、涙で顔をキラキラと光らせていた。