星の数より多く、君に愛を伝えたい。
「松岡さん……」
気がつけば、瑠奈ちゃんと美奈ちゃんは揃って俺を見ながら目を丸くしている。
「ああ、ごめん」
俺がいきなり泣き出したら、そりゃあ2人が心配するのも無理はない。
「あの、星歌ってだれなんですか?」
ああ、聞かれちゃったか。
そういう反応になっても、しょうがないよな。きっと聞かせておいて、損はない。2人だって、自分のお父さんが交通事故で亡くなってしまったことを話してくれたんだから。
俺は、中3の頃、星歌という名前の女子を好きになったこと、星歌が病気だったこと、星歌に好きと言えないまま、彼女が息を引き取ったこと……全て話した。
瑠奈ちゃんと美奈ちゃんは、輝美そっくりの黒目がちな目を見開き、悲しそうに眉を下げていた。
「かわいそう……」
「そんな、悲しい話が……」
まるで、自分のことのように悲しそうな顔をしてくれている2人を見て、俺は思わず優しく微笑んだ。
ほんと、輝美にそっくりだよ。
こんなぬれたような瞳じゃ、今にも泣き出しそうな感じにしか見えない。
「違うんだ、2人とも」
「え?」
「星歌は教えてくれたんだ。過ぎた時間は、戻ってこないってことを。知らんぷりはいけないってことを」
いつか輝美に話したことを、そのまま俺は彼女の妹達に話す。
……この2人は、性格まで輝美に似ているんだな。
人の悲しいと思った出来事を、自分のことのように悲しんでくれている、優しいところ。