星の数より多く、君に愛を伝えたい。

あれから、おばさん達はわたしと松岡くんの2人だけにしてくれた。

その前に、わたしは事故の経緯を松岡くんのお母さんが説明してくれた。


わたしと松岡くんがお出かけに行った時に、事故は起きたみたいだった。車にはねられそうになった松岡くんを守るために、わたしが飛び出したことでしばらく目を覚まさないでいたらしい。


わたしは正直、自分が車にはねられた驚きよりも、松岡くんを守れた嬉しさの方がずっと大きかった。


そしてなぜだか分からないけれど、今松岡くんがわたしのことを下の名前で、『輝美』と呼んでくれることがすごく嬉しい。



「輝美……」



今も、また呼んでくれている。
そう呼んでくれれば呼んでくれるほど、嬉しい気持ちはどんどん満たされていった。



「ごめん、ごめんな……」



「いいの」



松岡くんは、なんにも悪くないんだよね。
それなのに、彼は謝ってくれている。むしろ心配かけてごめんなさい、とわたしが謝りたいくらいだ。



「わたしのこと心配してくれてたんだね」



そういえば、目を覚ましてから一度も松岡くんのことを呼んでいないな。

わたしだって、下の名前で彼を呼ぶべきだと思った。
『太一』って呼ぶべきだと思った。



「ありがとう、た……太一くん」



なんだか、むずむずする。


呼び捨てで呼ぼうか、くん付けで呼ぼうか迷ったけれどずっと『松岡くん』と呼んでいたわたしからすると、どうやら呼び捨てよりくん付けの方が呼びやすかったようだ。


それなのに、心がフワフワする。




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