星の数より多く、君に愛を伝えたい。
卒業式の練習のため、歌や入場の練習をしたいたら流れるように時間は過ぎた。
わたし達3年生は全クラスで、体育館にいたまま帰りのホームルームをすることになった。
「莉音、かえ_____」
「住吉!」
帰りの挨拶を先生とした後に莉音に、帰ろう、と言おうとした途端にわたしの声は遮られた。
廊下を見ると、わたしの声を遮った1人の男子。
「吾妻くん……!」
わたし達は、吾妻くんと莉音のいる場所を見て頷き合った。
「2人っきりにさせてあげよう」
「そうだね」
莉音、今は好きな人と2人きりでいるべきだもんね。
わたし達は、お邪魔だ。
「まあ、2人っきりにならないといけないのは莉音だけじゃないけどね」
「え?」
言っている意味がよくわからない。
わたし? 太一くんのこと?
太一くんは今そばにいないというのに……。
「ほら、あそこ見てごらん」
真帆が、わたしの背中をそっと押した。
「太一くん……!」
見る場所には、太一くんがわたしに手を振っている。
「行って!」
「ありがと!」
わたしは小走りで、太一くんの元へ走る。
「太一くん、ごめんね。待たせた?」
「いいよ、全然。じゃ行こっか、輝美」
わたしは太一くんと2人で、スクールバッグを小刻みに揺らしながら体育館を出た。