星の数より多く、君に愛を伝えたい。
「それにしてもやっとだなあ」
「え?」
「ずっと2人きりになりたいのに、お前は女友達と一緒にいるんだから。友達利用して俺のこと避けてんのかと思ったぞ」
太一くんは文句を言っているような口調だったけれど、口元は緩んでいる。
「ご、ごめ……!」
わたしの恥ずかしい気持ちが、太一くんを不安にさせていただなんて、心の中で反省会だ。
それでも、恥ずかしい気持ちは抑えられない。
さっきも花乃たちに「やっと」と言われたばかりなので、くすぐったい気持ちがわたしを離さない。
気がつけば、かじかんだ手が熱くなった頰に向かっていた。
突然、頰に当たっていた片方の手があたたかいものに包まれたので見てみると、太一くんがわたしの手を握っていた。
「お前の手を握りたいんだよ」
この手のあたたかさ、そういえば同じだ。
あのホットチョコレートを飲み終わった時、突然手を握られた時のあたたかさと、同じ。
「俺が、今までもこれからも愛を伝えたいのはお前だけだから」
そうか、わたし、思い返せばたくさんたくさん太一くんに優しくしてもらっていた。
わたしが捨て子という噂が広がりそうになった時に庇ってくれたこと。
ホットチョコレートを飲み終わって手を繋いでくれたこと。
そして、あの時ベッドの上にいるわたしに『好き』と言ってくれたこと。
「あれだって全部、愛を伝えたいのはお前だけだから」
誰もいない道の中、太一くんの声だけがわたしの耳に入る。