星の数より多く、君に愛を伝えたい。
みんな誰もいないから、『おばさん』って呼んで大丈夫そうだな。
「おばさん、ごめんね。勝手に『お母さん』なんて呼んで、お母さんのふりをさせちゃって」
「なーに言ってるの。いいのよ」
肩をばん、と叩いた。
「わたしも隆一(りゅういち)さんも、子供がいなくて。だから、お母さんって呼ばれるのは叶わない夢だったのよ」
隆一さん、というのはおばさんの夫。
つまり、わたしと妹たちを引き取ってくれたおじさんのこと。
実はおじさんが無精子症のため、おばさんとの子供はできなかった。そのことに気づいた時にはすでにお母さんが病気だったことが、おじさんもおばさんも心配で無精子症の治療をする余裕ができなかった。
「おばさん、子供を産まないで本当に良かったって思ってる?」
「そうねぇ……。あの時は、子供がいる和華子姉さんが羨ましかったわね。輝美と一緒にいる和華子(わかこ)姉さんと大正(だいせい)さん、とっても幸せそうだったし……」
横を見ると、おばさんは目を閉じていた。
きっと、お母さんのことを思い出してるんだろうな。
「子供を作りたくないから作らなかったからじゃなくて、わたしと隆一さんは、自分の子を作ることよりももっと大切な人がいるから。……和華子姉さんのためには、わたしがこうやって頑張らないとって思ったの」
おばさんは、少し切なそうな瞳をわたしに見せた。