星の数より多く、君に愛を伝えたい。
やっぱり、何かおかしい。
俺は、気がついたら教室のドアの方へ足が進んでいた。
「ん? どこ行くんだよ、松岡」
男子たちの声が背中から聞こえた。
「トイレ」
俺はそれだけ答えて、輝美とその母親のほうへ行った。
「おばさん」
今、おばさんって言った?
さっきまで、彼女は『お母さん』と呼んだはずだ。
まさか、聞き間違い?
「ごめんね。“お母さん”のふりなんかさせて」
なんだって?
お母さんのふりをさせた?
……ということは、やっぱり母親ではなかったのか。
ただ、謎だ。
おばさんなら、おばさんでいいのに。
わざわざ親子に見せるふりなんかあったのだろうか。