星の数より多く、君に愛を伝えたい。

輝美side


わたしが9歳だったころに、お母さんは子宮頸がんで、入院することになったのだ。



『お母さん、だいじょうぶ?』



いつの日かお見舞いに行ったわたしは、パジャマを着てベッドに横たわったお母さんに聞いた。



『ええ、大丈夫よ。お母さんが元気になったら、また2人でお星さまを見ましょうね』



弱々しく微笑んで言ったお母さんに、



『うん!』



とわたしは元気よく頷くしかなかった。
お母さんの病気が、どれほど恐ろしいものだったか、幼いわたしは全然理解できていなかった。


病気と闘っていたお母さんが、どれほど苦しいものか全然知らなかった。
お母さんは、とうとう病気に負けてしまったのだ。



『お母さん! わたし、お母さんといっしょにいたい! お母さんと2人で、きれいなお星さま、みたかったのに!』



幼いわたしは、お母さんの冷たくなった手を握ったままずっと大声を上げて泣いた。



_____『お母さんが元気になったら、また2人でお星さまを見ましょうね』



お母さんとしていた、2人でお星さまを見ることもできなくなってしまった。




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