星の数より多く、君に愛を伝えたい。
ポニーテールの2人組は、まだ校門から出ていないようで、花乃はすぐに追いついたみたい。
背が高くて日に焼けた女の子は、前髪がぱっつんで毛先を巻いている。
色白で背の低い子は、前髪をピンでとめてゆるい仕上がりになっていた。
「あの、すみません」
花乃が呼び止めると、彼女たちは気がついて振り向いた。
「あの……捨て子だっていうのは、わたしのことかな?」
わたしが花乃の後ろからついてきて、そう聞くと2人は俯いて頷く。
「輝美が捨て子なんていう噂は、どこから流れてきたの?」
「わかんないけど、誰かが聞いちゃったらしくてね、親がいないって知ってそれで『捨て子』だと思って噂を流したみたい……」
背の高くて日に焼けた女の子の言葉で、目の前が真っ暗になった。
……どういうこと!?
確かに、お父さんとお母さんはもういないとは言ったけれど、捨てられたなんて一言も言っていないはずだ。
「捨て子って思ったの、誰!?」
「さあ?」
小柄で色白の女の子は、首を傾げる。
「そっか……」
「わたしも、後から聞いた話だったから」
「そうなんだ……なんか、ごめんね」
「ううん、わたし達こそ気に触るようなことして、ごめんなさい」
そう言ってから、ポニーテールの2人組はそそくさと帰ってしまった。