星の数より多く、君に愛を伝えたい。
「それにしてもさ、不思議な感じがしたよ。授業参観でも、みんながいるところでは『お母さん』って呼んでも、いないところは『おばさん』って呼んだもんだから」
いつの間にか、そんなところまで知られているんだ。
それとも、吾妻くんは見ていたけれど、ずっと触れないでいてくれたのかな?
「ホントの親子だと思わせるためなんだ。でも、まだ慣れないんだ。おばさんのことを『お母さん』って呼ぶの。普段では呼ばないのに、学校でだけだからね」
「慣れないんだったら、普段でもおばさんのことを『お母さん』って呼んじゃえばいいんじゃない?」
まあ、普通はそう思うよね。
でも、わたしにはおばさんのことを『お母さん』とあまり呼びたくないのに理由がある。
「……でも、なんかそれができないんだよね。確かに、おばさんはお母さんの代わりをしてくれている人だから。おばさんのことをお母さんって呼んでも違和感はないんだけど、わたしが『お母さん』って呼ぶ相手は、天国にいるわたしのお母さんだけがいいの」
「そっか」
「理由は、うまく言えないんだけど……。お母さんて、特別な感じしない? 友達も大切な存在だけど、たくさんいるし。でもさ、お母さんは1人。だから、面と向かって本当のお母さんに『お母さん』って呼ぶことはもうないけど、心の中で呼び続けたいの」
「そっか……。望月さんのお母さんは、やっぱり俺が思ってた通りのいい人なんだな」
「ありがとう!」
吾妻くんのおかげで、わたしの心は羽でもついたように軽くなった。