星の数より多く、君に愛を伝えたい。

わたしは、カーテンを開いてベランダに出た。
星たちが、夜空をきらめかせている。



「瑠奈、美奈。星が見えるよ」



「本当だ! 今日もすごく綺麗!」



「うん! きれーい」



サンダルをつっかけて、ベランダを出た瑠奈と美奈が機嫌良さそうに星を見上げる。


といっても、今は春だから星の数は他の季節と比べて少ないんだけどね。



「ねえ、お姉ちゃん。お母さんと星を見てたんだよね?」



妹達も、わたしが幼い頃にお母さんと星を見ていたことを知っている。このことを話して以来、わたし達は毎晩星を見るようになったのだ。



「あっ、うん。お姉ちゃんがちっちゃい頃。お母さんと見てたよ」



「ちょっと羨ましいなあ、お姉ちゃん。いいな、いいな! 美奈も、お母さんと星を見たかったー!」



美奈が、眉を下げて声を上げた。
こうしてみると、お母さんと会話したことのなくても、やっぱり母親のことが好きなんだと思う。



「大丈夫! 美奈も、きっと大切な人と星を見れる時が来るよ。もちろん、瑠奈にもね」



まだ小学3年生で、末っ子の美奈がくじけたりしたら、早めに機嫌を取らせないとかなり厄介なのだ。


末っ子といっても、美奈と瑠奈は双子なんだけどね。




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