星の数より多く、君に愛を伝えたい。
「どうしたの?」
莉音が、不思議そうな顔をした。
まあ、あの子の話を聞きに行くにしてもこっちに戻ってくるのは早すぎるよね。
「逃げられちゃった」
「え?」
わたしの一言で、面食らって太い声を出す莉音。
「なんだったんだろうね、あの子……」
「うん……まあ、よほどのことじゃないってことでいいのかもね……」
わたしは、さっきの女の子が走っていた方向を見ながら言った。
「おはよー、2人とも」
真帆がバッグを机に置かないまま、近づいてきた。
「あ、おはよう」
「あれ、何やってんの。廊下で」
松岡くんもやってきた。
「松岡くん!!」
また、わたしの背中をツンツン突く真帆。
「さっき、なんか女の子がいたんだけどわたしが近づいたら逃げちゃって……」
「女の子?」
「うん。誰かわかんないけど」
「ふーん。まあ、気にしなくていいんじゃない?」
「そうだね」
何気ない言葉だったけれど、松岡くんに言われるとなんだかすごく救われたように感じてしまう。