星の数より多く、君に愛を伝えたい。
「おはよ、輝美」
学校に着くと、女子が手を振りながらやってきた。彼女は、野本 真帆(のもと まほ)。わたしと同じクラス。すごく長い睫毛をしていて、まるでモデルみたいだ。
真帆は、手芸部に入っていて、手先が器用。
「ああ、真帆。おはよう」
「昨夜も星、妹ちゃん達と見てたでしょ?」
真帆は、わたしに妹がいることを知っているものの、両親がいないことは知らない。
中学の頃から、学校では両親がいないことを一度も話していない。
だから、今は誰もわたしに両親がいないことを知る者はいないのだ。
「うん、見てたよ。すごく綺麗だった」
「輝美ー、真帆ー!」
明るいソプラノの声が聞こえ、住吉 莉音(すみよし りおん)が歩いてくるのが見えた。
「おはよう、莉音!」
莉音は、合唱部に入っていてソプラノパートを担当している。とても声が高くて、歌はすごく上手い。音程もリズムも正確で、莉音が歌っていると、歌手が歌っていると勘違いしてしまいそうなのだ。
「あっ。皆、もういたの!?」
可愛らしい声の後、走ってくる音が聞こえた。小柳 花乃(こやなぎ かの)だ。花乃は、演劇部に入っていて、演技はかなり上手い。
ちなみに、わたしは美術部に入っている。自覚は全然ないけれど、皆はわたしの絵が上手いと言ってくれている。
「うん。おはよう花乃」
「おはよ!」
花乃は、背が小さくて小動物のような可愛らしい女の子だ。なので、いつも花乃はわたし達を見上げて話す。