星の数より多く、君に愛を伝えたい。

放課後になった。
今日は部活がなく、ほかの3人は部活があるということで、わたしは1人で帰ることとなった。



「あのさ……わたし、松岡先輩のこと好きなんだよね……」



「え? 松岡先輩って、松岡 太一さん?」



「そうそう」



思わずそんな言葉を聞いて、わたしは足を止めた。


……松岡先輩?
……松岡 太一さん?



「あっ、じゃあわたしも言うね。わたし、吾妻先輩が好きなの」



すみれちゃんだ……!



「あっ、望月先輩だ! こんにちはー!」



すみれちゃんの隣には、肩まで伸ばした茶色い髪の毛をした女の子がいた。



「こんにちは、すみれちゃん……」



「こっちは、関口(せきぐち) なつっていって、わたしの友達です! なつ、この人は美術部の3年生でわたしが1番に吾妻先輩が好きだってことを打ち明けた、望月 輝美先輩だよ」



「はじめまして、も、望月先輩!」



「はじめまして、なつちゃん」



桃色の頰をしていて、陶器のような白い肌にはくっきりとえくぼが浮かんでいる。
絵本に出てくる妖精が、人間の姿に変えたような、そんな感じがする。



「えっとぉ……」



とか言いつつ、他に何か喋った方がいいのかな?


いや、喋るべきだよね。せっかく、すみれちゃんは話しかけてくれたんだし、今自己紹介したばっかりでここで『さようなら』とか言って去ったら絶対変だよね……?




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