星の数より多く、君に愛を伝えたい。
「輝美の妹ちゃんって、お母さんと星は見たりはしないの?」
莉音の質問を聞いて、思わずわたしはぎくりとした。
「そういえば、そうだね。お姉ちゃんである輝美と一緒に見るって、なんか意外かも」
「普通だったら、お母さんと見そうだよね」
花乃も真帆も顔を見合わせて、不思議そうにしている。
恐れていた時が来てしまった。ここで、『今まで隠してごめんね。実は、お父さんとお母さんは居ないんだ』なんて言えない。
「んー、お母さんは仕事で忙しいからね。」
わたしは、心の中で必死に考えた理由をそのまま口に出した。
「あー。でも輝美だって高3の受験生だから大変なのに。それなのに妹ちゃん達の面倒を見るなんて。偉いね」
「でも、わたしも妹と星を見るのが趣味のひとつだから」
こういう時は、いつも心の中で皆に謝っている。
今日も謝る。そう、心の中で。
お父さんとお母さんがいないことを、毎日毎日隠していて、本当にごめん。
「ていうか、輝美のお母さんってどんな仕事しているの?」
「えっと、わたしも正直よく分かってないんだけど、色々掛け持ちしてて」
「そうなんだ! すごいね、輝美のお母さん!」
わたしは、また力なく笑う。
「そういう皆のお母さんは?」
できれば、こういう話は避けたいので、言葉をみんなに投げかけた。
「わたしのところは……」
皆が親の仕事を教えあった後、予鈴が鳴ったので、とりあえずこれでなんとか隠し切ることができた。