星の数より多く、君に愛を伝えたい。
下校する時間になり、靴箱へ向かおうとすると周りには誰もいなかった。
「吾妻先輩、好きです」
誰もいないと思っていたけれど、少し離れた場所でそんな声が聞こえた。
真帆、莉音、花乃と一緒に声のする方をたどると、人気のいない踊り場で吾妻くんが告白されていた。
告白している子は、後ろ姿しか見えていないので誰なのかが分からない。
ショートカットヘアの女の子が、俯き加減でそう言っていた。
「確か、高校1年生、だったよね? あの子」
ショートヘア……ということは、まさか!
「ていうか、あの子、大原 すみれちゃんだよ!」
「あっ、思い出した! あの子バレー部だもんね!」
「莉音のライバルじゃん……!」
みんなは、小声でひそひそ会話しているけれどどうやら向こうの2人の耳には全く届いていないみたい。
「俺で、いいの?」
「先輩がいいんです」
その声は、一途な気持ちをよくあらわしていて。
「……いいよ」