星の数より多く、君に愛を伝えたい。
えっ……?
今、吾妻くん、『いいよ』って言った。
すみれちゃんの告白を、受け入れた。
莉音の好きな人が、他の女の子の告白を受け入れた。
ちらっと莉音を向くと、莉音は表情を変えていない。
一見、悲しそうな顔もしていないし傷ついたようには見えないけれど。
表情を変える力がないくらい、絶望に満ちている。
わたし達を見ると、莉音はわずかに口角を上げた。
「行こ」
わたしは、莉音の言葉に黙って頷く。
今の莉音の言葉には、どんな言葉であろうと否定できない。
「……まあ、そうだよね」
靴箱で靴を取りながら、莉音はそう言った。
「すみれちゃんみたいなさ、かわいい子を好きにならない男子いると思う? かわいいだけじゃなくて、好きな人には一途で一生懸命で、あんな風にまっすぐ告白できるなんて。あんな素敵な子、いる?」
最後の言葉は、涙のせいで八つ当たりのように聞こえるような気もする。でも、そうじゃない。八つ当たりしているんじゃなくて、莉音は莉音で今つらくても必死に言葉を紡ごうと必死なんだ。
今の莉音に、どう言葉をかければいいか分からない。
花乃も真帆も同じ気持ちでいるのか、俯いていた。