僕はペットで離婚を決めました

「ダメだ! 絶対ダメだ! 」

 謙が反対すると美奈は。

「どうして? 小太郎の奥さん来たら、子犬産まれるから友達が欲しいって言っているの」

「いい加減にしろ! お前、犬より先に自分だろう? 俺とお前の子供、作らなくていいのか? 」

「勿論作るわよ」

「だったら、今でさえ邪魔されているんだ。言わなくても判るだろう? 」

「え? 謙ちゃん、小太郎に一生、童貞で生きろって言うの? 」


 ばかか! お前は! 

 あー…俺は、こんな女を好きでいたのか? 2年間も同棲していたのに、ここまでバカだと気づかなかった俺にも責任はあるのだろう…。

 自分を責めつつも、謙は気を取り直して。


「言っておく。俺は、犬を飼う事に反対はしなかったが。こんな事になるとは思わなかった。想定外だ。これ以上、状況が悪化する事は避けたい。だから言う! もう一匹飼うなら、俺はこの家を出る。契約解除して出て行く! その意味わかるな? 」

「うん、分かった。じゃあ、やめとく」


 解っているような、分かっていないような返事をする美奈。


 犬より自分だろうが!


 謙はその夜も怒りが収まらないまま、寝てしまった。





 それから。

 美奈は暫く2匹目の話しはしなくなり、バイトの日数を増やしていた。

 週3日が4日になって、そのお金は全部小太郎に使われていた。


 夕飯はカレーやグラタンやオムライス。

 酷いときはカップラーメンは置いてあった。


 小太郎には贅沢なドックフードとおやつ。


 この扱いなんなんだ? 


 なんで俺が、レンジで温めた物食べたり、疲れて帰ってきてカップラーメンなんか食べないといけないんだ? 


 結婚生活ってこんなの? 

 もっと楽しくて、子供を待ち遠しくてワクワクしている生活だと思っていた。


 小太郎が居ても、美奈と一緒に可愛がって楽しくできると思っていた。


 だが現実は違った…。


 
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