僕はペットで離婚を決めました
謙が裁判所に出向いて行ったのは「嫡出否認調停」である。
これは明かに自分の子供ではない事を証明するために、子供が産まれるもしくは産まれてから1年以内に行わなくてはならない調停である。
離婚して晴れ晴れしているのに、なんでこんな事に時間を奪われなくてはならないのか?
謙は腹ただしさを通り越して呆れていた。
美奈は20代のうちに子供を産みたいと言っていた。
それを実現したようだ。
夫を裏切って、ペットを優先しながら浮気をして他の男との子供を作りずっと黙っていて、何食わぬ顔をして出産して。
土壇場になったら連絡してくる。
身勝手を通り越してこれは「奇行」だろう。
それから謙は何度も、会社を休んで裁判所に出向いて、元嫁の美奈の産んだ子供は自分の子供ではない事を証明した。
そもそも入籍してから体の関係なんて、いつも途中までで犬に邪魔されていたし。
最後までも何も全くシテないのに子供なんてできるわけがないだろう!
しかし。
美奈は離婚する前にすでに妊娠していたのだ。
それを黙ったまま離婚した。
これは美奈から連絡がなく、出生届けを出されていたら勝手に謙の子供として受理されていた事だ。
離婚前に妊娠していない証明を医師からもらっておけばよかった…。
いや、それやっていたら美奈の妊娠がバレて、美奈が浮気して他の男と子供を作っていた事が全面的に明るみになり慰謝料請求される。
だから黙っていたのか。
どこまでも性悪女だ!
その後。
美奈からまたメールが来た。
(謙ちゃん、迷惑をかけてごめんね。なんだか同棲していた時が楽しかったね)
おお? なんとなくしおらしい?
と、謙は少しだけ美奈の事をかわいそうだなぁと感じた。
しかし…次のメールで…