志鎌くんは笑わない。
何も言わずともふみくんは、バス停の方へと足を向ける。
ずっと私の隣にいてくれるから私の思考までも全部読めているのだろうか。
でも隣と言っても半径1メートル、それが私達の距離感。
友達以上でも、友達以下でもない。
出会った時から、あの日、約束を交わした日からずっと。
「そういやふみくん。さっき告白されてたでしょ?」
サラッと見ていましたという事実を伝え、ふみくんの反応を見た。
だけど案の定、ふみくんは私の質問に驚きもせずに一つ頷いた。
「何で知ってるの」
「まっちーにいきなり資料室連れていかれたと思ったら、ふみくんの告白現場見て!って言われたもので」
「梛浦ってそういう情報どこから手に入れるんだろうね」
「んー……まっちーって学年問わず色んな人と仲いいからそこから、とか?」
そう。と一言だけ答えると、少しだけ俯いたふみくんはいつもと雰囲気が違うような気がした。
困惑してるのか、それとも恥ずかしいとか?
いつだってふみくんの感情は読み取れない、読み取らせてくれない。
「それで、告白の答えはどうしたの?」
返ってくる言葉は分かりきってるけれど、何となく聞きたくなってふみくんを見て聞いた。
そんな私だけど、ふみくんは私を見ずにハッキリ答えた。
「無理です、って答えた」
「うわあ……流石にそれ言われたら私、死にそう」
言われた先輩はもしかしたら明日は休みを取る案件かもしれない。
ふみくんらしい答えだけど、少しだけいつもより答えがサバサバしている。