志鎌くんは笑わない。



当たり前の日々の中、隣には彼がいた。


それはある理由があるからで、私と彼を結びつけている。


それ以外何ものでもなく、お互いが承知の上だ。


今日も今日とて、ふみくんはモテる。


だから今日の帰り道の隣には、ふみくんはいない。


何となく近所の公園に寄って、錆びれたブランコに乗る。


一つのボールを追いかけ回す少年達は、光の塊のようでキラキラとしている。


そんな少年達をチラチラと見ている少女達、これが現代まで続く恋というものの始まりなんだろう。


でも、私はそれをしない。


してはいけない、そう思うから。


何かを好きになる、それは大切なものを失った時の傷が大きいから。


青春なんて一度しかないものなのだから、楽しまなきゃ損だとは思う。


だけど、



「辛いだけだもん」



遠巻きに少年少女達を見つめながら、彼らを諭すように呟いた。




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