Sync.〜会社の同期に愛されすぎています〜
「瀬戸口ごめんね・・・私、瀬戸口の噂のこと真に受けちゃって・・・」
「なんで翠があやまるの・・・あやまるのは俺の方。強引にして怖かったよね」
「うん・・・あれは流石に」
私は、ドン引きの顔をする。
「本当にごめん・・・後、一つ言っておきたいのは西木とはしたこないから、俺は西木の姉ちゃんと関係があったらしい。覚えてないとか最低だよね。でも、本当に覚えてない。
翠だけが欲しかったから・・・・」
「西木と関係がなかったのはちょっとほっとした。でも、もういいの。私だって他の人と付き合ってたことあるわけだし、過去は過去」
「けっ俺は一度も彼女作ったことないのにムカつくわ・・・そういえばあいつと結婚すんの?」
「え?あいつって?」
「杉原とかいうやつ」
「なんでそうなるの?」
「俺、あの後話がしたくてついていったら、家から翠と両親とそいつが出てきたから」
そう言いながら、私のおでこに瀬戸口がおでこを当てる。この近さは恥ずかしい。
「ああ、あれうちの親の早とちり。あの人は既婚者で子供もいるし、きっぱり関係を終わらせてきました。」
「よかった・・・」
瀬戸口は満面の笑みを顔で隠した。
「じゃあ、改めて……俺と付き合って下さい。」
そういって頭を下げた。
「はい」
返事をした私に、瀬戸口は抱きついた。
「その・・・今日俺の家に泊まりに来てくれてもいいんだよ?」
「断ります。だってまだデートもしてないじゃん。」
「う・・・そうだよね。あ・・・まさかとは思うけれどあの男とはしてないよね」
「してないよ。」
その回答に瀬戸口はぱっと顔が明るくなった。
「OKじゃあ俺が最初で最後の男になる!」
私をギュとして優しく包み込んだ。
「超、ロマンチックな卒業式にしてやるから覚悟しとけよ。惚れんなよ。」
「大丈夫。もう惚れてるから」
その言葉のあと、顔を真っ赤にした瀬戸口を見て私は笑ってしまう。
「バカにすんな」と私を抱き寄せてキスをする。
風が吹くたびに染めたての髪からカラー剤の匂いとつけてもらったヘアオイルの柑橘系の甘い香りがする。
綺麗に巻いてもらった髪を瀬戸口が優しく撫でる。
「かわいすぎ・・・・今、こうやって翠に触れられるのが夢みたい。」
「夢じゃないよ、現実…」
もう一度、長いキスをした。
ずっとこのままこうしていたい。
好き・・・大好き・・・・