Sync.〜会社の同期に愛されすぎています〜
合格を隠し続けたが、当時の教師が鼻高々に私が大学に合格したことを大きな声で言ったものだから、仲間内に広がってしまい「なんか裏切られた気分」だと私に言いそれから、メッセージのやり取りのグループから外され、卒業後から今に至るまで連絡を取ることも会うこともなかった。

大学では、ギャルをやめて一気に女子アナ風を目指してみると男にとても好評だった。言い寄ってくる人も多くこれが「モテ期」なのかと楽しんでいた。
そして、友達は自分から作ることをやめた。深く関わらないことにした。それでも一人になることはなかった。
同じ大学で、同じような目標を目指すもの同士。程よく話ができて気を使うことがなかった。
それに気がつくには少し遅かったのかもしれない。

はじめて付き合った彼氏と、キスの先に至った。

私に言い寄ってくる派手でチャラチャラした人ではなく、自分の父親のような真面目な人だった。
メガネをかけて髪の毛も染めたことがなくて、無難なファッションをしていた。
友達の期間が長かったせいもあるけれど、大学生なのにキスをするまでに1ヶ月もかかりその先に行くのに3ヶ月もかかった。結婚前提でないとそう行った行為はできないタイプでとても誠実だったのだと思う。
彼は星を見るのが好きで、初めて連れて行ってもらった真冬の山の中の丘で同じ毛布にくるまって凍えながら星を見た。
家に帰るために車に乗り込もうとした時に、いつもするような軽いキスではなくて初めて長いキスをした。
車の暖房が温まるまで時間がかかるはずなのに、一瞬で車の窓ガラスが曇ったのを今でも覚えている。
私の体をぎこちなく触り、自分でも呼吸が乱れたのがわかった。
初めてのこの瞬間に私はひどく緊張していて、「痛い」と言ってしまった。
すぐに彼は我に帰り、「ごめん」と謝って、それから一言も話さずに家まで送り届けてくれた。
あのまま痛いと言わずに、我慢していたらその日の結末は変わっていたのかは分からない。
彼も初めてで女の体に触れたことなどなかったのだろう。

その日以来、なんとなく私たちは気まずくなって普通に話すこともできなくなり、専攻している授業も違うためほとんど会うこともなくなった。いわゆる自然消滅。
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