Sync.〜会社の同期に愛されすぎています〜
その日
家に帰宅すると杉原さんが家のリビングで父と晩酌をしていた。
その状況にどこからツッコミを入れればいいのかが分からない。
「翠・・・話がある・・・」と切り出し私を座らせた。
「杉原くんと結婚しなさい。」
唐突にいう父に思わず私は目を丸くする。
「どうせ彼氏も作らずに仕事ばっかりしてるんだろう?」
(もっと言い方があるでしょ・・・)
私は一呼吸置いて反論する。
「お父さんに言ってなかったけど彼氏いるから」
「どんなやつだ?言ってみろ・・・なんの仕事してるんだ?長男か?」
問い詰める父に私は黙り込む。
「翠ちゃん・・・あの同期の子でしょ?女の子と遊んでそうな感じの・・・」
(余計なことを・・・・)
「翠・・・聞いてないぞ。そんな奴とは別れろ」
「やだよ・・・お父さんは私にどうなって欲しいの?杉原さんは本当に素敵な人だよ・・・わかってる。
でも、私は今付き合ってる人と結婚したい。
好きな人と結婚して幸せになりたいの。これ以上お父さんがいうなら私のギャル時代のプリクラ杉原さんに見せるし杉原さんのお父さんとお母さんにも見せるからね!!!」
そういって私は家を飛び出した。
(・・・言えた・・・・自分の意見・・・なんか私めちゃめちゃ成長してる気がする・・・)
一目散に、泰生の元へ向かう。
早く会いたい・・・・
でも、お父さん・・・ごめんね・・・
ここまで愛情いっぱいに育ててくれたのに・・・
真面目すぎるところが大っ嫌いだったけれど・・・
あなたが父親ならば、私が大好きな泰生のことをお父さんもきっと好きになってくれるはずだから。
私が来ることを予想していなかった泰生は、とにかく驚いていた。
ここに来るまでの間、たくさんのことを考えた。
もしかしたら、このまま勘当されるかもしれない。
絶対にそんなことないってわかってるけど。
泰生と離れることだけが考えられなかった。
「泰生・・・私と結婚して・・・下さい。」
息を切らしながらいう私に、「はあ?」と連呼して顔を真っ赤にした。
「料理はこれから覚えるし、仕事はまだ続けるつもりだから家事全般もお任せすると思うけれど・・・」
「いや、そうじゃなくてなんで翠からいうの?」
「だって、私は杉原さんとじゃなくて泰生と結婚したい。」
私の口を手で覆った泰生は顔を赤くした。
「バカ・・・・だから、俺から言わせてって・・・」