Bloody wolf
再会
イレギュラー
お祖父ちゃんとの約束の日。
学校から帰って着替えを済ませると、マンション前に到着していた迎えの車に乗り込んだ。
可愛い赤色のミニバン。
前にとんでもない黒の高級車で迎えにこられて、それは止めてほしいと頼んだ結果、この車に落ち着いた。
「響ちゃん、久し振り」
運転席から振り返って人懐こく笑う雷牙君はイケメンだ。
年の頃は20代前半て感じ。
アイロンのかかったピンクのシャツに茶色のスラックスを着て清潔感があるけど、どこか軽さを感じてしまうのはなぜだろう。
「あ、お久し振りです」
「またまた他人行儀だな」
そう笑うので、
「他人でしょ」
と返す。
雷牙君はお祖父ちゃんところの人で、私の家族じゃないよね
「相変わらずクール」
楽しげに笑う雷牙君。
「そう」
素っ気なく返して窓の外に視線を向けた。
あれ? あの人、この間の。
マンションの植え込みの近くに人影を見つける。
風に揺れるアッシュブラウンの前髪から覗く瞳が、こちらを訝しげに睨み付けていた。
何をしに来たんだろう。
助けたお礼に来たとか言われても困るんだけど。
すっかり忘れてた彼の登場に、視線を合わせないように目を逸らした。
関わっていい人じゃなさそうだもの。
「・・・あいつ、知り合い?」
雷牙君は射るような視線を彼に向けた後、バックミラー越しに私を見る。
「さぁ、知らない」
興味無さげにミラーを一瞥して、視線を違う方向へと向けた。
「そう、ならいいけど」
「ん」
「不良っぽいのと関わると、総代が心配するからね」
「そ」
視線を合わせないまま会話する。
私を乗せた車はゆっくりと進み出す。
雷牙君は車を追うように視線を向けてくる彼をまだ気にしてる様子でハンドルを握るものの、それ以上私に何かを聞いてくる事はなかった。
お祖父ちゃんは、お付きの人達から総代って呼ばれてる。
見た感じから相当なお金持ちなのは分かっていたけど、どうもかなり地位のある人らしい。
そこ事について私は聞かなないし、お祖父ちゃんも何も言わないので、本当のところお祖父ちゃんが何者なのかは知らない。
必要以上に知る必要も無いので、特にそれを気にしてもない。
すっかり日の落ちた街を車は進む。
何処に行くのかは聞いてないけれど、連れていかれた先にお祖父ちゃんが居るのは間違いないだろう。