いつか、きっと。
そして、私の自由研究は友也に手伝ってもらったおかげで無事に終わらせる事が出来た。

何をしたかっていうと、氷のでき方の観察。

透明な使い捨てのコップに半分くらい水を入れて冷凍庫に入れる。

それを何個か用意して、時間をずらして冷凍庫に入れる。

そして少しずつ氷ができていく過程を観察していった。

冷凍庫に入れていた時間を記録し、その時の氷の状態を写真にとってその様子も詳しく書いた。

この氷の観察をやってみて、氷は真ん中からじゃなくて外側の方からできていくって事が分かった。

「おいが手伝ったことは内緒ぞ。もし誰かに言うたら絶交やけんな!」

なんて約束させられてしまったけど、なんでだろう?

私ひとりでこんなの出来るわけないのに。

先生にばれたらマズイのかな。

「うん、内緒にする。でも本当に友也のおって良かった!ありがとう友也。なんかお礼ばせんばね!」

「そいじゃアイスば奢ってくれん?暑かけんアイス買いに行こうで。おいは"ブラックモンブラン"な!」

アイスで済むんだったらお安い御用!

ふーんそうか、友也はブラックモンブラン派なんだ……。

「よかよ!私はミルクックけどね!!」




──その後の残り僅かな夏休みはあっという間に駆け抜けていった。

自由研究もちゃんと終わらせられたし、友也やクラスメイトたちと一緒に花火大会にも行く事が出来たし、充実した夏休みになったと思う。

私がなかなか距離感をつかむ事が出来ずにいた友達とも、遠慮せずに話せる様になって打ち解ける事ができた。

やっぱり自分で知らず知らずに壁を作ってしまっていたんだろうな。

その壁を壊すきっかけを作ってくれたのは、友也だ。

『友也、明日美ちゃんのこと心配してたよ。もっとみんなと喋って仲間に入っていけばよかとにって言いよったし』

そんな風に友達がこっそり教えてくれた。

心配してくれた友也のためにも、みんなともっと仲良くなれるようにしたいな。

お陰で二学期からは不安な事もなく、楽しく学校に通う事ができた。

こっちでたくさん友達ができたからって、未来のことを忘れたりすることもなく、時々電話したりしていた。

その時に未来にも新しい友達のことを話して聞かせると、未来も『仲良くなれて良かったね』と喜んでくれた。

そして『明日美にとっては友也くんも親友って言えるかもね』とも。

未来も親友だけど、友也も親友……。

その言葉がこの先私の胸を刺す事になるとは、まだ知らなかった。


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