いつか、きっと。
友也は入学式を終え、大学生として歩み始めた。

南海高校は生活態度など結構厳しかったようで、大学での解放感が新鮮だと嬉しそうだった。

ただその分、周りに流されないように自分をしっかり持っていないといけないって気を引き締めてもいるようだけど。

大学生になったら楽しいことがいっぱいあって、私との距離も離れていってしまうんじゃないかなって不安になってしまってた。

お互いが身を置いている環境があまりにも違い過ぎて、気持ちまですれ違ってしまうんじゃないかって……。

だけど、変わらず私のことを気にかけてくれた友也。

メールか電話をするという毎日の習慣は相変わらず続いていたし、私が仕事が休みで友也の都合が良ければ会うのが当たり前みたいになってた。

会えばお互いの会社や大学ことで話は尽きないし、いろいろと興味深い話を聞いたり話したりして刺激を受け合っていた。

ただやっぱり会えない時間は友也のことが気になって仕方がなかった。

友也の周りには私の知らない女の人もたくさんいるんだろうし。

「同期入社の人たちって、どがん感じ?もう仲良かと?」

入社して1ヶ月くらいの頃に友也から聞かれたことがある。

「同期って言うても年上ばっかりばい。大卒とか専門卒とか。でもよか人が多かと思う。まだそがん親しくなった訳じゃなかけど、よう喋る人もおるし」

「変な男に引っ掛からんごとせろよ。同期とは仲良くなるかもしれんけどよか人ばっかりじゃなかかも知れんぞ。明日美は女子高卒で男に免疫のなさそうやけん特に気ぃつけんば。もしなんか変な事とかあったらいつでも俺に言って来いよ」

友也が私の事を心配してくれてるって思うと嬉しかった。

けど、それだけ心配されるってことは、二人の距離が遠くなってしまったような気がしてちょっと寂しくもなる。

私だって友也が大学でどんな人と出会い、どんな人たちと仲良くなって、どんな風に過ごしているのか気になって仕方がない。

男子校では周りに女子がいないからそんなに心配する事はなかった。

今は、私の知らない素敵な女性と楽しく笑い合っているのかもって考えただけで不安が押し寄せてくる。

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