いつか、きっと。
「友也はどう?大学って楽しそうだよね。新しい友達もたくさんできるだろうし」

「サークルに入ったけん、友達はできたけど。親しくなるとはまだまだこれからばい。俺も周りに流されんごとせんばいかんなー。とりあえず夢に向かって突き進む!先に社会人として頑張りよる明日美に早よう追い付かんば」

友也はテニスのサークルに入ったらしい。

今まではソフトテニスだったけどサークルでは硬式だからまだ軟式の癖が抜けないって言ってた。

でも新しいことに挑戦する友也は生き生きとしてて惚れ直してしまう。

そんな友也に一歩でも近づきたくて、私も会社のテニスクラブに入れてもらう事にしたのだ。

J商で硬式テニスをやらなかったのは、軟式を続けている友也を裏切るような気がしたからだった。

友也が大学で硬式をやるんだったら、私も同じことをしたい。

いつか一緒にテニスを楽しめることだってあるかもしれないし。

「ねえ友也。女の子の友達もできた?綺麗な人とかいっぱいおるとやろうねー」

一番気になってる事を、なんでもないことのようにサラッと聞いてみた。

「もしかして明日美……。妬いとる?」

どっどうして!?

あくまでも雑談の一環を装って軽く聞いたつもりだったのに。

「やっやだな友也ったら!大学って高校とは違って交遊関係も広かやろ?男子校じゃなかとやし女の人だっていっぱい知り合うとばい。いちいち妬きよってもキリんなかよ」

そうやって自分にも言い聞かせてるんだからね。

だって私なんてどうせ偽者彼女なんだし。

「ふーん。俺は明日美が会社で俺の知らん男と親しゅうなっとるとかと思うたら気が気じゃなかけどな。特に同期の男とかな」

「う、嘘ぉ……。友也からそがんこと言われるとは思わんかった。でもそがん親しくなんかなっとらんし。友也が心配せんばようなことはなかよ全然」

友也ももしかして、私と同じなの?

私が友也の大学生活を気にしてるみたいに、友也も私が会社でどうしてるのか気にしてくれてるの……?

「明日美は自覚の足らんもんなー。しっかりしてそうで抜けとるとこのあるし」

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