いつか、きっと。

なによ友也ったら。

ちゃんと自覚してるってば。

誰も私なんか……。

だって職場で男の人と話す事はあっても、仕事の話が殆どだし。

雑談なんかすることはあっても、本当に世間話程度なんだから。

あ、でもそう言えばこの間、同期のメンバーでの食事会に参加したときのこと。

あのときたまたま隣の席に座っていた同級生の瀬名(せな)圭司(けいじ)くんから、唐突にこんな話題を振られたことがあった。

「生田は彼氏とかおらんやろ？」

は？いきなり失礼ね。

勝手に決めつけてくれて……。

ムカついたから堂々と宣言してやった。

「残念でした！私にだって彼氏くらいいますから！」

本物の彼氏じゃないってことがちょっぴり後ろめたく思うけど。

表向きは付き合ってる事になってるんだから、いいよね。

契約だって延長されてるんだし、しかも無期限だし。

卒業してからこうやって誰かに「彼氏います」なんて言うの初めてだけど……いいよね？

「へー、そうなんか。女子高卒やけん出会いとかなくて彼氏なんかできんやったんじゃないかと思うたとに。どげんして彼氏できたと？ああ、分かった！紹介やろ。男子高と女子高はよう紹介で付き合うらしかもんな！お前もその手か」

うんうんと勝手に納得したような瀬名くんにちょっと呆れながら反論した。

「紹介？違う違う。確かにJ商でも紹介で付き合う人とかおったけど、私と友也は中学の同級生やったけん。小六の時からの友達でもあるし」

「へー、それはちょっと意外過ぎてたまげた。っていうかそれ本当？適当に話作って誤魔化しとらん？なんか簡単には信じられんとけど」

え？なんでそんなこと言うの。

私ってそんなに彼氏がいなさそうに見えるの？

っていうかまあ、本当に付き合ってるわけではないけど……。

まさか真相を見抜いているとか……。

「じゃ、証拠ば見せるけん。……ほら、これでどう？」

仕方がないから携帯に保存してある友也と私のツーショット写真を見せてやった。