いつか、きっと。
「ちょ、ちょっと友也。そがんことまで私に言わせると?」

他にして欲しい事って言ったら、アレしか思いつかないけど。

さっき『抱きしめて』なんて言ったばかりなのに、今度はまた改めておねだりしないと……してくれないの?

「うん。明日美のおねだりやったら何でも聞いてやりたかけん。明日美から可愛くねだられたか」

友也もしかして、私が顔を見ることが出来ないこの体勢だから?

だからそんな恥ずかしい事でもサラッと言えちゃうの?

イヴの日に告げられた『契約延長』もこんな風に後ろから抱きしめられながら聞いたんだった。

「じゃあね、今すぐ友也の顔ば見たかとけど」

そう言って友也の手を私の身体から離し、くるりと後ろを向いて友也とやっと顔を見合わせることが出来た。

私ほど真っ赤にはなってないけど、ちょっぴり耳が赤くなってる気がする。

「そんがん見たかとやったら思う存分見てよかぞ。どう?明日美から見て俺はどがん男?」

え、どがんって……。

私はもう友也しか眼中にないから、他の男の人と比べようがないんだけどな。

でも世間一般からしたらどうなんだろう?

いわゆる"イケメン"とはちょっと違うような気がするけど。

あそうか、さっき友也は『明日美から見て』って言ったんだよね。

じゃあ世間一般は関係なくて、私が友也をどう見てるかってこと……。

「友也は、私の中で誰にも負けんくらいよか男ばい……」

やっやだ!こんな至近距離で、目を見つめ合ってこんな台詞言ってしまうなんて!!

これって告白みたいなものじゃない?

友也も私からの返事が意外だったのか、言葉に詰まったように私をただ黙って見つめるだけ。

さっきよりも顔が赤くなってるみたい。

照れてるの?その照れ、私にまで伝染して来ちゃう……。

「あ、あのさ友也。さっきお父さんがおらんとか気にしとったたい?なんで……」

「そいは、もちろん邪魔されとうなかけんさ」

私、まだおねだりする前だったのに。

しびれを切らしたらしい友也が私に口づけてきた。

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