いつか、きっと。
「はいはい~。お帰りなさい、お疲れさま」

「ただいま。コレお土産な」

お父さんが帰ってきたんだ。

……ってことは、さっきのもお父さんだったの?

「おーい友也ぁ。来とっとか友也?」

玄関から真っ直ぐに私の部屋を覗きに来たお父さん。

「お帰りなさい、お父さん」

「お邪魔してます。おじちゃん、うちになんか用のあったと?ピンポン聞こえよったけど」

「お、やっぱりここにおったな友也!ただいま明日美。今日は友也がひとりって聞いたけん、差し入れでもしてやろうと思って。たこ焼き買うてきたけん、あっちで食べんか?」

お父さんも友也が家にひとりでいることを気にしてくれたんだ。

ネクタイを緩めながら私と友也の顔を見て、フッと視線を落とした。

「待っとるけん、早う来いよ」

私たちが返事をする前に向こうの部屋に行ってしまった。

何か言われるのかなって思ったのに、見られただけで済んで良かったのかな。

私たちの手がしっかりと繋がれたままだったってこと。



「友也、今日みたいに家にひとりになる時は遠慮せずうちに来い。御子柴さんとうちはしょっちゅう行き来しよるとやし、ひとりやったら心配すっけんな。明日美もそう思わんか?」

みんなでたこ焼きを食べながら、お父さんが言った。

「うん。私だって友也のお母さんやお父さんにはお世話になる事もあるし、お互いさまよね。だけん友也もいつでもうちに来てよかよ」

「おじちゃんおばちゃん、ありがとう。そがん言うてくれるなら遠慮せず明日美に会いに来るけん。今はまだ学生の身で一人前とは言えんけど、卒業して社会に出たら早う立派な社会人にならんば。明日美の彼氏として恥ずかしゅうなかごと頑張るけん、見とってくれんね」

え、ちょっとなに言ってるの友也。

お父さんとお母さんにそんな決意表明みたいなことを……。

そんなこと言われたら二人ともビックリするよ。

「まあまあ、友也くんは本当に先の事までしっかり考えてくれとるとね。明日美は大事に想われてよかねー」

え?そ、そう?

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