いつか、きっと。
友也と離れている時間は寂しいけど、それぞれが頑張ってる時間も大事なんだと言い聞かせる。

そうすることで、会えた時がとても嬉しく思えるから。

二人で過ごす時間は、ただ一緒にいられるだけで幸せ。

外で会って食事したり、デートするのももちろん楽しいけど、私が一番嬉しいのはやっぱりどちらかの部屋で二人きりで過ごす時間。

「明日美……こっち来いよ」

小さなテーブルを挟んで向かい合ってお喋りしていても、結局くっつかずにはいられない私たち。

友也に手を引かれドキドキしながら近寄ると、その腕に抱きしめられる。

「友也…………」

『キスして』と言う代わりに目を閉じると、直ぐに触れてくれた唇が愛しくてたまらない。

ずっとずっと、こうして友也と触れ合っていたい。

友也、私……友也が好き。

大好きだよ。

友也は気付いているの?私の気持ち。

そして、友也も私の事を好きでいてくれてる?

友也から、気持ちを伝えてくれる日はいつか来るのかな……?

こうして部屋で会う時は必ずキスをして、抱きしめられて。

とっても幸せで身も心も蕩けそうになる。

だから私はだんだん"偽者彼女"だってことが気にならなくなっていた。

"偽者"だってことにとらわれ過ぎてたのかもしれない。

二人きりでいる時も、いいや、二人きりの時の方がかえって親密で恋人らしい私たちなんだもの。

誰に対してのアピールでもない、二人だけの時間。

ただのフリだったら、こんな風にくっついている必要なんてないはずなのに。

そうでしょ?友也。

だからね、私も必要以上に卑屈にならないようにすることにしたの。

ただ、どうしても気になってしまうのは、これからの二人の関係について。

無期限で契約を延長されたのは全然構わないし、むしろ嬉しく思う。

だけど、いつまでこうしていられるんだろうって、つい考えてしまう時がある。

だって、いつまで経っても友也は私に『好き』だとは言ってくれない。

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