いつか、きっと。
一月十日。

成人式の日の朝は超早起きで、近所の美容室に行った。

お母さんの知人の美容師さんに着付けとメイクをお願いしていたから。

私の他にも何人かいたけど、自分の準備に専念せざるを得なくて。

着付けにメイクと慌ただしくて他の人をじっくり見ている余裕がなかったのだ。

出来上がった成人式仕様の私の晴れ姿。

鏡で見ると、まるで別人みたいでマジマジと見てしまった。

「明日美ちゃん、いつもは可愛らしい雰囲気だけど今日はメイクでグッと大人っぽく仕上げたからね!彼氏からも惚れ直されちゃうわきっと。あー若いっていいわね~」

「えっそんな……。なんだか私じゃないみたい。友也、私だって気付いてくれるかな?」

「へぇ、彼氏『ともやくん』って言うんだ!早くその艶姿、見せてあげなきゃね!!」

もう、美容師さん……。

そんな風に言われたら照れちゃう。

でも、友也はこの姿を見てどう思うんだろう?

早く友也に会いたい……。



美容室の次は写真屋さんへ。

日曜日だからお父さんが車を出してくれた。

「明日美……馬子にも衣装とは、こんことば言うとばいなぁ?」

「え!変かかな?どうしよう美容師さんが誉めてくれたけん本気にしてしもうた。うわーどがんしよう!やっぱりこの格好、友也に見せん方がよかやろか……」

「明日美、お父さんは照れ隠しでそがん言いよるだけばい。さっきお母さんには『明日美も綺麗か大人になって、友也に取らるっとの惜しかな』って泣きよったとよ」

ま、マジで!?

友也が私をもらってくれる可能性がどのくらいあるのかは、わからないけど。

「ばっバカか!今ここで言うなって!て言うか、泣いとらんけんな明日美」

ありがとう、お父さんもお母さんも。

写真屋さんでは、まず私一人での撮影を。

「これお見合い写真になるけんねー。歯は見せんごと、おしとやかに笑って!はい、いきまーす!!」

お見合い写真とか、必要ないってば。

でも友也とだったらお見合いとかしてもいいかな。

< 120 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop