いつか、きっと。
「じゃあせっかくだから、お父様とお母様もご一緒にどうぞ!家族写真を記念に撮っておきましょう」

家族写真とか、今までこんなちゃんとした写真屋さんで撮ったことなんてない。

「あらやだ!そんならもっとめかし込んで来るとやったとに…」

「まあまあ、お前はめかし込まんちゃいつも通りで十分たい」

「やだあなた。それじゃ私はこんな普段着でも美しいって言ってるようなもの……」

あーはいはい。

早く撮ろうよ家族写真。

写真屋さんもお客さんの予約でいっぱいいっぱいな様子で、次から次にモデルが入れ替わっては撮影がひっきりなしで忙しさのピークを迎えていたようだった。

私たちものんびりとはしていられなくて、次は成人式の会場に向かうためお父さんの車でブリックホールへ移動。

昼食は車の中でコンビニのおにぎりを食べるのが精いっぱいだったけど、口紅大丈夫?取れてないかな?

ちょっとグロス足しておこう……。

鏡でチェックして、歯に海苔が付いてないのも確認した。

京子と真実もそれぞれ家族に送ってもらうらしく、ホールの入り口入って階段のところで待ち合わせしていた。

「あ、いたいた!真実ー京子ー!!」

振袖姿で見ちがえてしまったけど、間違いなく真実と京子だ。

二人とも雰囲気がガラッと変わってなんだかドキドキしちゃう。

「え、もしかして明日美!?」

「うっそー明日美じゃん!!めちゃ大人っぽいよー!!」

「なに言ってんの!二人の方が大人の女って感じで綺麗だよー!」

私たちはお互いの晴れ姿の品評を繰り広げながら、再会を喜び合った。

会場はすごい人たちで溢れかえっている。

これじゃ友也たちがどこにいるのかなんて分かるはずもない。

『会場で会ったら写真撮ろうで』なんて言ってたけど、まさか会えずじまいなんてことはないよね……?

「京子、涼介くんとは約束しとらんと?友也もしかしたら涼介くんたちと一緒じゃないかなって思うとけど」

「そう?確か涼介はね町田くんに誘われたって……あ」

< 121 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop