いつか、きっと。
優しくそっと触れてきた友也の手が私のうなじをなぞり、髪の毛を弄ぶ。

同じような動きを何度か繰り返すのが……気持ちいい。

ついウットリと目を閉じて酔いしれていると、耳元で艶かしく囁かれた。

「もしかして……感じた?」

えっ!

『感じた』って……何を!?

慌てて目を開けて友也を見ると、真剣な眼差しとぶつかった。

「そがん無防備な表情ば見せるとは、俺だけにしとけよ」

私一体どんな顔してたんだろう。

「友也だって私だけにしてね。こがんことすると。他の女の人には触れたりせんって言って」

「当たり前やろ。でも明日美が不安に思うとやったら、約束する。俺は明日美以外の女に触れたりせん。これで良か?」

約束……してくれたんだ。

胸が詰まって言葉が出ず、コクンコクンと頷いて見せた。

「じゃ、その誓いの記しに……」

私の顎に手を添えた友也の視線が、私の唇に注がれる。

「明日美の唇、艶々でキラキラしとる。このキラキラって触れたら移るとかな」

「……試してみる?」

早く、艶々な唇を奪って。

「じゃあ試させて。さっきの約束、明日美の唇に誓うけん……」

目を閉じるのと同時に唇が塞がれた。

場所も場所だし、誓いのキスらしく触れるだけだったけど。

あっという間に離れてしまい未練がましく見つめてしまったけど、友也の唇が……。

「ふっ、ふふふふ。友也、キラキラしちゃってるよ?」

「マジか!?やべーな」

手の甲で唇を拭う友也。

その仕草が、たまらなく色っぽく見える。

「まだ……残ってるよ。ほらここに」

背伸びをして唇の右口角に残されたグロスを、私の舌で拭ってあげた。

ついでにハンカチで友也の手の甲についたグロスも拭い取る。

「これでOK」

「おおサンキュー。じゃ、行くぞ」

再び指を絡ませ合い、みんなの元へ向かう友也と私。

私のグロスが取れてしまった唇と、友也の左口角に残されたキラキラはそのままにして。

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