いつか、きっと。
「明日美ー。急におらんごとなったと思えば、彼氏をお出迎えしよったとね!友也くん、みんな待っとったばい」

お店に入るなり真実が大声を出すから、注目の的になった。

恥ずかしくなって咄嗟に繋いだ手を離そうとしたけど出来なかった。

「遅うなってごめん」

友也は私の手をしっかりと握ったまま、普通にみんなの輪に入っていった。

「御子柴と生田ってやっぱりそういう関係やったとか!お前らあん時から実は隠れて付き合いよったとじゃなかとか?」

ほら、早速突っ込まれた!

でも『あん時』って!?

「別に隠れたりしとらんけど。俺らが付き合い始めたとって高一の秋くらいやし」

うん、そうそう。

みんなとはなかなか会う機会もなかったし、報告する場がなかっただけで隠してたわけじゃない。

本物ではなくフリってことだけは誰にも言えないけど。

「嘘やろ!中学の頃から本当は付き合いよったっじゃ?お前ら仲良かったやっか」

「仲良かったとは私たち家も隣同士やし、ずっと"親友"やったけんね。でもあん時は付き合ったりしとらんよ」

みんなが疑わしそうな目で見てくる。

もしかして私が友也を好きだったってこと、バレてたのかな……。

「俺ら何人かの間で『生田って彼氏おるとかな』って話になった時、確か友也が『アイツは好きな人のおるらしか』って言いよったよな?」

「……さあ?俺そがんこと言うた覚えなかけど」

そう言えばさっき、有紀もそんなこと言ってたよね。

私があの頃好きだったのは友也に間違いないけど。

友也は私の気持ちに気づいていたの?

だからなの?

「じゃあ今真相ば確かめようで!なあ生田、お前中学の時誰か好きな奴おったとか?白状しろよ!」

ど、どうしよう!?

友也の前でそんな告白出来るわけが……。

「あーもう、うっさかお前ら!!昔のことはどうでもよかやろ?今は俺が明日美の彼氏ぞ。だけん誰も俺の明日美に手ば出すなよ!」

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