いつか、きっと。



体育館での終業式が終わって、教室に戻ると成績表が配られる。

「この成績表は保護者の方々に見せるものだから、家に帰ってからちゃんとお父さんお母さんに見せるように!それから自分でも見てもいいけど、他の人の成績表を無理矢理のぞいたりするなよ!」

なんていう先生からの注意は誰もまともに聞いてはいない。

お互いに見せっこしたり、どーだったこーだったとワイワイ騒いでいた。

「こら!成績表は見せ合ったりするもんじゃないって言ってるだろ。さっさとランドセルに直せよ~」

「先生、今日は終業式だからランドセルではありませーん」

「やかましか!落としたり失くしたりせんごと、しっかりバッグに直して持って帰れよ。はい今日はもう帰りの会は無し。日直~」

「先生、今日は日直いませーん」

「あーそうやった起立!気を付け!礼っ」

「さよーならー!!」

帰りの挨拶が済んで、走って教室を出て行く人もいれば、まだ教室に残って友達と話している人もいる。


「明日美ちゃん、どーやった?もし嫌じゃなかったら見せっこせん?」

真実ちゃんと京子ちゃんが成績表を手にしてやって来た。

はっきり言って私の成績は良くもなければ悪くもない普通の成績だった。

前の学校では優秀な方だと思っていたけど、こっちの学校は少しレベルが上みたいで勉強の進み具合も早いからついていくのに前よりも頑張らなければいけないと感じていたところだった。

あんまり見せたくはないけど、友達のが気になるのも本当だし。

それに秘密を分かち合うようで、もっと親密になれるような気もした。

「うん、いいよ。でも他の友達には絶対に言わんごとしようね」

「そうしよう!三人の秘密ね!」

約束をして、成績表を交換した。

まず真実ちゃんのを見せてもらい、そのあと京子ちゃんのを見せてもらうことに。

二人の成績表を見た感想は、微妙な差はあるものの三人とも大した差はなかったのでホッとしたという感じだった。

微妙な差というのは、それぞれ得意な科目が違えば苦手な科目も違うから生まれる差。

例えば国語が良ければ算数が悪かったり、そのまた逆だったり。

私は国語が得意だけど京子ちゃんは算数が得意。

真実ちゃんはどれも平均して普通って感じ。


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