いつか、きっと。
「入場券ならもうあるけん。今日は明日美の誕生日ぞ?俺に任しとけって!」

事前に用意してあるってことは、WEBチケット?

さすが友也、段取りがいい。

「でもさ、ハウステンボスのチケットって結構高いんじゃ?JRの切符も買うてくれとったし」

大学生の友也にお金を使わせるのは申し訳ない気がするんだけど……。

そんな私に呆れたように友也が反論してくる。

「だけんが、明日美の誕生日やけん任せろって言いよっとに。俺だってバイトして遊ぶ金くらい持っとるさ。そりゃ社会人として働きよる明日美ほどじゃなかけど。いつもいつもって訳にはいかんけん、今日くらいは俺にカッコつけさして」

あ、また私ってば。

せっかく友也がエスコートしてくれようとしてるのに、水を差すようなことを。

「ありがとう。二十歳の誕生日は特別やね。今日は本物になったつもりでとことん甘えちゃおうかな!」

「おう、甘えろ甘えろ!明日美はいつも遠慮しすぎさ。俺にだけは遠慮すんな」

ウェルカムゲートから入国し、まずどこに行けばいいのかと場内マップとにらめっこしていた私。

「明日美、船に乗ろう、船!」

「え……船!?」

手を引かれて向かったのは、船着き場?

広大な敷地内に巡らせてある運河を運行する船があるらしい。

今いる場所"ウェルカム"から乗船すると"タワーシティ"まで行けるという。

「パスポート見せれば乗れるって。タワーシティにある"ドムトールン"ってタワーに登ろうで!」

マップに一際高い塔が描かれている。

高さが105メートルもあるシンボルタワーだ。

「うん!私も()っかとこからハウステンボスの街並みを眺めたか!」

カナルクルーザーでタワーシティまで楽々移動。

途中で見えた白い観覧車にもテンションが上がる。

「ねー見て見て友也っっ!観覧車もあるばい!!あとであれにも乗ろうよ!!」

「うんうん乗ろう。明日美テンション上がってきたごたっな。俺も負けんごと上げていかんば」



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