いつか、きっと。
ドムトールンに着くとエレベーターで地上八十メートルの五階展望室へ。

そこからはハウステンボスの街並みが一望でき、大村湾も見ることが出来た。

「すごい眺め!こがん高さからハウステンボスば見られるって、すごかね!」

どうにかして友也にこの感動を伝えたいけど『すごい』しか出て来ない。

自分のボキャブラリーの貧困さが情けなくなった。

「本当!めちゃめちゃすごか!!」

友也も私に合わせてくれてるのかな。

二人で窓に貼り付くようにして景色を堪能した。

「友也、夜景も綺麗かやろうね!昼間とはまったく違った感じになるとじゃなかかな」

「そりゃそうやろーな。でもさ夜景はあの観覧車に乗ってから見るともよかかも知れんぞ」

そうだ!観覧車もあるんだった。

友也、最初からそのつもりでいてくれたのかな。

行く前からいろいろと考えてプラン立ててくれたんだとしたら、尚更嬉しくて胸がいっぱいになる。

「あがん(ちい)そう見える街並みば友也と一緒に歩くとの楽しみ!」

ドムトールンからの眺望をしばらく楽しんだあと、地上に下りて散策することに。

「明日仕事やろうけど、せっかく来たからには夜景とかイルミネーションば見てから帰ろうで。すごからしかけん見らんば勿体なかやろ!」

「うんうん!あっでも帰りの電車の時間見とらんやったね。しもうた」

「閉園時間が十時やけん、帰りの電車は一応九時五十三分のシーサイドライナーに乗る予定にしとるけど。大丈夫か?」

さ、さすが友也。

帰りの電車までしっかり調べてくれてるとは。

閉園間際までここで過ごせるんだね。

「それじゃ今日はたっぷり時間あるね。友也と一日ずっと一緒だなんて最高の誕生日!すっごく幸せだよ。ありがとう友也」

こういう時には素直に気持ちを伝えるべきだと思ったから、ニッコリ笑ってお礼を言った。

するとどういう訳か一瞬真顔でキョトンとした友也。

だけど直ぐに笑顔を見せて繋いだ手をギュッと握ってくれた。


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